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SUBARU健康保険組合 太田記念病院

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ロボット支援手術について

新たな手術支援システムとして注目されているダヴィンチシステム。今回は導入にあたり、その詳細と本院での運用方法について解説いたします。

ロボット支援手術とは

ロボット支援手術とは当院では現在、患者様の負担が少ない低侵襲な術式として鏡視下手術(腹腔鏡下手術・胸腔鏡下手術)を数多くの手術で行っています。低侵襲である本術式に加えロボット機能を付加したロボット支援手術を今回導入しました。ロボット支援手術とは言いますがロボットが自ら勝手に動くわけではなく、内視鏡カメラと3本のアームを患者様の体に挿入し、術者が数メートル離れたコンソール(操作席)に座り、3Dモニターを見ながら遠隔操作で装置を動かすと、その手の動きに連動してロボットが体内で手術器具と連動して手術を行うというものです。このことにより鏡視下手術では不可能であった角度からの視野の確保と、鉗子の自在で繊細な動きが得られ、お腹の中に術者の手を入れているような感覚で手術を行えるようになりました。

泌尿器科で運用開始

当院ではintuitive社のダヴィンチXiを導入し、2023年10月よりまず前立腺全摘術からロボット支援手術を開始しております。現在泌尿器科領域では、ほぼ全ての癌における手術のロボット支援手術が保険適応になっており(腎癌、副腎腫瘍、膀胱癌、良性疾患では腎盂尿管移行部狭窄症、骨盤臓器脱など)、今後は適応を拡大していきたいと考えています。

ダヴィンチXiについて
ペイシェントカート

患者様に接続する機械で、1本のカメラアームと術者が操作する3本のロボット専用鉗子からなります。Xiでは従来の機械より4本のアーム同士の干渉が少なくなり以前のものに比べるとより手術が行いやすくなっています。また高性能電気メスを使用しているため従来に比べ出血減少に役立つとされています。

ビジョンカート

先ほどのペイシェントカートから送られてくる画像からハイビジョン3D画像を作成し、最大14倍まで拡大可能となっています。

サージョンコンソール

術者が操作する機械です。こちらに座りながら手術を行うことで従来の手術に比べ疲労なく手術可能です。また、3本の鉗子を術者が操作しながら手術を行うため自分の思い通りに視野を展開することが可能です。鉗子自体も360度以上回転し、手振れ補正機能もあるためとても繊細な手術を行うことが可能です。

ロボット支援手術のメリットについて
  1. 術中の出血量が少ない
    開放手術と比較すると、二酸化炭素のガスで気腹して手術を行うため極めて少ない出血量で手術を行うことが可能です。
  2. 傷口が小さい・術後の痛みが少ない
    患者様の皮膚を切開する傷口は、鉗子を挿入する10mmほどのサイズで、多くは6箇所程度です(術式によって異なることがあります)。摘出した臓器を取り出すために傷を延長する可能性はあります。小さい傷口のみで行われるため、開放手術と比べるとかなり術後の痛みは少ないです。
  3. 機能温存が向上
    14倍まで拡大可能な3Dモニターで術野を確認しながら、正確な鉗子操作で手術を行うことで機能が温存できる可能性が期待できます。例えば前立腺全摘除術であれば開腹手術に比べ術後の尿失禁や勃起機能の回復が早くなることが報告されています。ダヴィンチ手術は、これまでの鏡視下手術にロボットの機能を組み合わせて発展させた術式です。内視鏡カメラとアームを挿入し、術者が3Dモニターを見ながら遠隔操作で装置を動かすと、その手の動きがコンピューターを通してロボットに忠実に伝わり、手術器具が連動して手術を行います。
ロボット支援手術のデメリットについて
  1. 触覚がない
    術者が組織を直接触ることができないため触感がありません。そのため手術には慣れが必要ですが、当院で使用するダヴィンチの製造業社であるIntuitive社のトレーニングを終了した、認定資格を有した医師が手術を行います。
  2. ロボット支援手術が行えない患者様がいる
    ロボット支援手術を行うに辺り、鉗子を挿入する部分に手術歴があるような患者様は安全に手術を行えない可能性があります。また、前立腺全摘除術や膀胱全摘除術など頭を下げた体位で手術を行うので、脳動脈瘤や緑内障の患者様では本手術を行うことができない場合があります。
まとめ
  1. 泌尿器科で運用開始
  2. ほぼ全ての癌における手術のロボット支援手術が保険適応に
    ※保険適応を拡大検討中
  3. 術中の出血量が少ない、傷口が小さい・術後の痛みが少ない
    ※患者様の身体的な負担が少ない
  4. ロボット支援手術が行えない患者様がいる
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