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心不全とは?
心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、徐々に悪化することで、生命を縮める病気です。
心不全の症状
心不全には、様々な症状があります。
- ・今までできていたことで息が切れる
- ・動悸がする
- ・急に体重が増える
- ・夜間頻尿
- ・寝ると苦しくなり、起きると楽になる
- ・むくんでいる
- ・食欲が落ちる
- ・お腹が張る
- ・疲れやすい
- ・最近手足が冷える
心不全の原因
- 1.虚血性心疾患
- 2.高血圧
- 3.弁膜症
1~3の順で原因となることが多く、心不全患者の1年の死亡率は7.3%、再入院は6ヶ月以内27%、1年以内35%です。昔と比較してよくなっていますが、まだまだ高い割合です。
心不全の疫学
心不全患者は高齢者が多いため、団塊ジュニア世代が高齢者となる2035年をピークに、患者数、死亡者数増加、医療費拡大、病床不足、医師不足等で医療体制が疲弊すると言われており、「心不全パンデミック」に陥ると危惧されています。

心不全の基本的な治療方

原因がわかっていなければ『症状を良くしながら原因を調べる』、原因がわかったのであれば『原因を治療しながら症状を改善させる』ということを並行して行うことが大切です。
心不全の治療薬
薬には、利尿薬、血管拡張薬、強心薬、心拍調節薬などがあります。大きく分けると、以下2つがあります。
- 1.予後改善のための治療薬
- 2.症状改善のための治療薬
1にはACE阻害薬やβ遮断薬等があり、2には利尿薬があります。予後改善のための治療は、心機能が低下している心不全(HFrEF)に対して、心不全の再入院および長期予後を改善させる薬剤です。基本的には、ACE阻害薬とβ遮断薬の併用をベースに、アルダクトンとソルダクトン、利尿薬を加えることが薬での心不全治療の基本となります。症状改善のための治療は、利尿薬があります。心不全では肺に水が溢れ、息が苦しくなります。水分を体の外に出すことによって息苦しさを改善させていきます。
※新規の心不全治療薬としてIvabradine(イバブラジン)、ARNI(アーニー)、SGLT2-Inhibitor(ダパグリフロジン、エンパグリフロジン)、Vericigua(ベt ルシグアート)等があり、こういった薬も併用していきます。
薬以外の治療
ステージA・Bの段階で生活指導や薬物療法の導入で心不全を予防することが大切です。ステージC・Dとなれば、急性期病院で入院加療が必要になると考えられます。

~治療薬の見直し~
診療ガイドラインに準じた標準的心不全治療
(guideline-directed medical therapy:GDMT)
GDMTの徹底は心不全患者さんの予後を大きく左右するため、心不全治療薬の見直しをすることが大切です。しかし、治療薬の見直しだけでは、不十分なことも多くあります。薬以外の治療も併せてできるものがないかを考える必要があります。
例えば、以下のものがあります。
- ・LVAD(人工心臓)
- ・TAVI
- ・Mitraclip
- ・CRTD(心臓再同期療法)
- ・心臓移植
- ・PCI
- ・補助循環装置
これらのものを心不全治療薬とあわせて使用して治療していきます。
心不全になってしまったら
群馬県は、急性期病院と慢性期病院、心臓リハビリステーションを行う病院、それに地域のかかりつけ医や訪問看護等が相互に連携しながら、地域全体で患者さんを支えるように取り組んでいます。
心不全は一生付き合っていかなければならない病気です。みんなで患者さんを支え、再発・悪化の危険から守ります。しかし、それには患者さんやご家族の協力も必要です。
心不全は病院で薬をもらって飲んでいれば悪くならないわけではありません。患者さん自身が「治療の4本柱」を継続することがとても重要です。

血圧測定、体重測定 、むくみの観察
安静にすることは体力の低下を招きかえって寿命を縮め ます。有酸素運動と中等度の筋肉トレーニングが有効です。
内服と同じくらい大切です。 具体的には塩分制限を行い ましょう。
内服薬を自己判断で調整すると、心不全は確実に悪化し 急性心不全の原因となります。必ずかかりつけの主治医に 相談してください。