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SUBARU健康保険組合 太田記念病院

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地域を守る 〜災害訓練の新たな試み〜

2019年3月2日(土)に院内災害対策訓練を実施しました。
平日日中の関東平野北西縁断層帯により、太田市内で震度6弱の地震が発生。電車脱線、公共道路陥没、家屋倒壊により、多数傷病者が当院に流れ込んでくることを想定としました。

BCPに則った災害訓練

新たに策定したBCPに則り、検証を含めた訓練を実施するため、例年、土曜日の午後のみ訓練を行っていましたが、今年は災害対策本部員のみ午前中から訓練を行いました。

午前訓練 10:15~12:00

午前中は発災から院内の人的被害、建物被害、設備類の確認を行い、多くの傷病者が来院した際に患者様を受入れることができるかの判断を災害対策本部で話し合いました。
情報収集の結果、受入れ可能と判断し、多数傷病者を受入れるためのエリア人員配置を行って、午前中の訓練は終了しました。

災害訓練の様子
午後訓練 13:00~13:45

多数傷病者を受入れる為のエリア人員配置を職員に報告。与えられたエリア毎に役割分担と実施内容の確認を行いました。

災害訓練の様子
午後訓練 13:45~15:20

多数傷病者が来院した想定での訓練に公立館林厚生病院DMATにも参加していただき、合同での医療活動訓練となりました。

災害訓練の様子
BCP(事業継続計画)の策定

ここ数年、当院では有事の際の各職場の動きや災害対策本部を含む新設部門の立ちあげ等を記載した「災害対策マニュアル」を整備してきました。また、院内には多職種で構成された災害対策委員会があり、定期的な研修会や訓練を通して災害時の備えをしています。
しかし近年、東日本大震災、熊本地震や北海道胆振東部地震等、大規模な地震が毎年のように発生しています。群馬県は比較的地震発生のリスクが少ない地域と言われていますが、いつ大きな地震が起きてもおかしくない状況にあります。そこで従来の災害対策マニュアルでのブラッシュアップと更に充実した内容を整備すべく、「BCP(事業継続計画)」※の策定を行いました。

見直しを行ったもの
①院内の被災想定のまとめ
②対応俯瞰表の作成
③災害対策本部マニュアルの作成
④従来のマニュアル内にあった部門手順書の見直し
⑤課題一覧表の作成

用語の定義

※BCP(事業継続計画)
Business Continuty Planの略。災害や事故等によって重要な業務(=病院の場合は患者の受入)が中断しないように、または中断してしまった場合に早期に再開できるように、あらかじめ作成された計画のこと。

①院内の被災想定のまとめ

当院は免震構造、発電機の整備等、大地震に備えた病院です。また、災害拠点病院として医療材料や食料品等の備蓄もあり、有事の際の備えもしています。しかし、これらを整理し一元的にまとめたものはなく、また多くの職員が災害時の建物耐性や備蓄等の状況をしっかりと理解していなかったという事実がありました。そこで、専門業者に院内全体の構造のチェックをしてもらい、災害発生時に発生しうるリスクをまとめ整備しました。その結果、当初の設計の通り震度6規模の地震では大きな被害はないであろうとの予測もたてることができました。

②対応俯瞰表の作成

従来の災害対策マニュアルは総ページ120ページを超え、どこに何が書いてあるかが分かりづらい状態でした。特に災害対策本部では多くの情報を取り扱い、また多くの業務が発生します。どの部署がいつ何を行うかをしっかりと、抜けることなく把握するのは難しい状況でした。そこで、災害時に行う業務と部署を時系列的に把握する為の俯瞰表を1枚の用紙にまとめ、この用紙を使用することで災害時の必要な業務を把握し、管理しやすくなりました。

③災害対策本部マニュアルの作成

災害時の肝はやはり本部です。情報の統括・整理、備品や人員の整備をし、現場がより良い環境で患者様に向き合えるようにするのが仕事になります。上記②と同様ですが、120ページに及ぶマニュアルでは把握が難しい状況にありました。
そこで本部の動きのみを抜粋し、ブラッシュアップした災害対策本部マニュアルを整備しました。②の対応俯瞰表とともに利用することで、更なる精度を持った本部活動が行えるようになりました。

④従来のマニュアル内にあった部門手順書の見直し

各部門の動きがまとめられた部門手順書は、平成27年を最後に見直しが行なえていない状況でした。その間、新しい部門が出来たり、人員の変更等もあり整合性がとれたものではなくなっていました。そこで、この機会に全部門のヒアリングを行い、項目に過不足はないか、記載されている情報で実際に対応できるか等の確認をし、取得した情報をもとに修正することで、現状に即した内容に変更いたしました。

⑤課題一覧表の作成

見直しを行っていく中で出てきた課題を整理し、一覧化しました。すぐに解決が必要なものに関しては解決を図りましたが、緊急性が高くないものに関しては期日を設定し、解決に向けて検討する委員会も立ちあげました。問題を解決することで、BCPやマニュアル類の更なる見直しが必要になれば随時見直しを行っていき、より精度の高いものを職員間で共有できる仕組みをつくりました。

BCPに則った災害訓練を実施して

BCPを作成して初めての訓練であったため多少の混乱はありましたが、実りある良い訓練になりました。しかし多くの課題が出たのも事実です。課題を課題のままにせず、次年度に活かすとともに、実災害が起きた時に備えていく必要があります。
当院ではいつ起こるかわからない災害に向けて、今後も準備を進めていきます。災害が起こらないことを祈りつつも、災害拠点病院として機能するよう努めていきたいと思います。

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