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SUBARU健康保険組合 太田記念病院

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訪問看護ステーション・居宅介護支援事業所

訪問看護ステーション
師長 那須 文枝(右)

居宅介護支援事業所
ケアマネージャー 中村 寿美子(左)

訪問看護ステーション師長 那須 文枝(右)、居宅介護支援事業所 ケアマネージャー 中村 寿美子(左)
在宅を望む方というのは増えてきているのですか?

那須:増えています。患者様も住み慣れた場所に帰りたいというのは当然あります。高齢や独居、終末期の患者様に限らず、たとえ一人暮らしでも帰る場所を整えて退院しています。低所得者や生活保護の方でも、医療や介護が必要であれば公的サービスを提供し、利用する傾向にあります。

中村:しかし、希望して在宅で看取られたいとか自宅で過ごしたいという方が50%近くいるにもかかわらず、お家でのマンパワーがなかったり、認知症の方とかで一人では生活できないというところになってくると、ある程度、在宅で暮らしていても施設入所もやむを得ないというギャップもあります。

那須:そこをどう埋めていくかが課題になっていくと思います。

中村:基本は利用者の方の希望なので。私たちの主張ではなく、やっぱりその方が“どう生きたいか”というのを尊重することが重要です。私たちは自宅で過ごす人の支援をしているので、一番は利用者の方がどう生きたいか、どう過ごしたいかといった気持ちを代弁する支援者だと思っています。

お二人が携わり始めた頃と現在とでは、取り巻く環境は変化していますか?

那須・中村:すごく変わりました。

那須:環境の変化としては、病気とともに生きていくのが当り前、病気や障害も生活の中の一つという考え方ですね。

中村:介護保険制度は平成12年4月に施行されたのですが、当初から一番大きく変わっているなと感じているのが、地域包括ケアシステムですね。「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現する。」(厚生労働省)という事で、地域の問題は地域で解決していく、地域の住み慣れた環境で暮らしていく事が出来るようにする、というのがここ最近の国の意向です。
それと今“医療と介護の連携”というのがすごく叫ばれているので、切り離せないものとして大きな変化になっているなと思っています。

那須:「時々入院、ほぼ在宅」の考え方ですね。地域で暮らしながら、普段は開業医や在宅医、訪問看護等のサービスを使う。入院が必要になってしまったら、大きな病院へ紹介される。このように地域で生活を続けていくというのが、地域包括ケアシステムです。

中村:太田市でも、昨年の4月から太田市退院調整ルールというのが施行されました。今年の4月から正式ルールになるのですが、このルールができただけでケアマネージャーと病院との連携がすごくスムーズになりました。書式の統一と、あとは窓口の対応がしっかりしてきたので。すごく近い関係になっているなと感じますね。

当院の患者様以外でも利用できるのですか?

那須:できます。開業医や大学病院、ケアマネージャーから直接、依頼がくる事もあります。小児の訪問看護も増えていて、当院の訪問看護ステーションに直接依頼があります。呼吸器がついていたり、気管切開等で重症度の高い小児の場合、当院は小児科が併設しており、スタッフの教育がきちんとされているという事で信頼が厚いですね。それは太田記念病院という看板を背負っている訪問看護の責任にもなるので。
現在、当院の訪問看護サービスを利用している方の25%が小児というところでもあると思います。

中村:当院からの依頼が多いですが、院外からの依頼もあります。特に依頼が多いのは医療ニーズが高い方ですね。経済的な理由や認知症があったりして困っている方の依頼も多いです。例えば終末期の方で、今のタイミングを逃してしまうともう自宅に帰れないという急ぎの場合。たとえそれが二週間でも一ヶ月でもいいから帰りたい、という方は早急に対応する必要があるので出来る限り担当したいと思っています。

当院の患者様が利用する場合はどのような流れになっていますか?

那須:入院中であれば病棟の看護師から患者支援センターに連絡がきて、訪問看護に依頼があり、介護が必要な方ならケアマネージャーにも介入してもらい、退院に向けて面談調整をします。外来からも同様の流れで依頼が入ります。

中村:当院で要介護者になりそうだという場合は、患者支援センターの看護師と病棟の看護師が情報として持ってきてくれるので、退院前カンファレンスができ、入院中に利用者の方と顔の見える関係ができるんですね。看護師だけではなく、ソーシャルワーカーやリハビリテーション部のスタッフを含め、本当にいつでも連携がなされているので、解決が早いです。

那須:その方が自宅に帰った時に、玄関のあがりの高さや動線、ここに手すりがあった方がいいといった事を検討します。病棟で担当していた医師、看護師、リハビリスタッフ、ケアマネージャーと一緒に、在宅でご家族とケアできるように調整を進めていけるというのは当院の良いところだと思います。中村さんも、看護師でありケアマネージャーなので、医療の知識もありフットワークもとても軽いので助かっています。
終末期の方は特に時間がなく「今が自宅に帰れるチャンス」といった時を逃さないよう対応しています。訪問看護ステーションと併設している事業所だからこそ、本当に短い時間の中で調整して自宅に帰る機会を逃がさないで済むんですね。自宅に帰ると様々な体調の変化から“困った”が増えるんです。だけど調整してから帰ると、困ったことが起こっても「ここに相談すればいい」といった寄りどころができるので、再入院する事が減るんです。

中村:せっかく自宅に帰れた方が調整不足、ケア不足で短期間で再入院するのを避けるためにも、そういった調整は必要かなと思います。

那須:帰った時の不安を減らすためにも、当院の事業所は病院とも切り離せない役割を担っているのかなと自負しています。

中村:当院の特徴として、在宅医という選択肢もあるけれどもそうではなくて通院したい、といった時に当院の訪問看護やケアマネージャーが入っていれば、情報を医師や外来の看護師に報告する事ができるということで、病院とも連携をもつことで患者様に安心していただけるといったところがあります。それはやはり同じ院内で顔の見える関係だからできるという部分を痛感しています。

那須:訪問看護ステーションと居宅介護支援事業所のパソコンをタブレット端末に変えたことで、情報の共有・連携が密にできるようになりました。
それまで人工肛門(ストーマ)の方のパウチが剥がれてしまったという緊急の電話が多かったのですが、今は訪問時に撮影した写真を、ステーションにいる管理者やスタッフがタブレットを持って担当医師に確認をとったり、ストーマの事を皮膚・排泄ケアの認定看護師に相談するといった事がタイムリーに出来るようになりました。
情報で流すとそれがその場できちんとケアとして生きるので、質としては高くなり、連携の部分も整備されて良くなったと感じています。

院外の方とのかかわりについて教えてください

那須:訪問看護ですと、院外の先生が主治医の場合もあり、電話でのやりとりも当然あります。また月1回は必ず計画書と報告書をお届けに行きます。もちろん遠い場合は郵送になってしまいますが、なるべく先生と顔を合わせ、顔の見える関係を心がけています。スタッフも電話対応や足を運んで、タイムリーなやり取りができるように努力をしています。相手方の先生も往診時に在宅の記録をすごくよく見てくれ、先生からのコメントも追記されています。一人の利用者の方を多職種で支えている実感がありますね。
依頼等をきちんと受けて信頼関係が厚くなれば、新規の依頼がどうしても受けられない時など先生も事情を分かってくれるので、また次に機会があれば繋げてくれますし。介護保険での訪問看護利用者様であれば、担当のケアマネージャーと担当者会議で面談同席したり、症状変化時等でも電話連絡で、情報共有を密に行っています。小児の場合も他事業所との連携も同様に行っています。

中村:例えば地域包括支援センター。太田市では9か所あって、基本的にはセンターが要支援者のプランを立てるのですが、地域包括支援センターの役割はたくさんあるので、私たち居宅介護支援事業所が委託を受けて一部の方のプランを立てています。
また、利用者の方のところに月1回は必ず訪問してモニタリングをして、どんな風になっているかという評価をしています。もちろん異常時はすぐに対応します。たくさんの方を受け持つことはできませんが、すごく大変だという方はもちろん受け持ちたいと思いますし、質を落とさないように心がけています。

その方がどう生きたいか どう過ごしたいかといった気持ちを代弁する支援者だと思っています
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