【循環器内科】臨床研究に関する情報公開
外科的・内科的血行再建が困難な包括的高度慢性下肢虚血患者(No-option CLTI)に対するステントを使用しない従来のバルーン拡張術による経皮的深部静脈動脈化(pDVA: percutaneous deep venous arterialization)の安全性と有効性に関する多施設後向き研究
研究の目的
外科的・内科的血行再建が困難な包括的高度慢性下肢虚血(No-option CLTI)患者に対して、経皮的深部静脈動脈化術(pDVA)が実施されることがあります。海外では、専用デバイス(LimFlow)および膝下動脈へのステント留置を用いたpDVAの有効性が報告されていますが、本邦ではいずれも未承認です。そこで本邦では、従来のバルーン拡張術のみでpDVAが実施されてきましたが、バルーン拡張術のみを用いたpDVAの治療成績について、まとまった報告はありません。そこで、本研究では、大切断のリスクを有するNo-option CLTI患者に対する、専用デバイスおよびステントを用いない従来のバルーン拡張術のみによるpDVAの有効性と安全性を検討することを目的としています。
上記「研究の対象」でお示しした患者さんを対象に、通常の診療で得られた情報(データ)を診療録(カルテ)から収集します。本研究は、当院を含み複数施設にて実施します(下記「研究組織」参照)。収集したデータを統合したうえで、pDVAの治療成績を統計学的に分析します。
研究期間
2023年12月4日から2025年1月31日までを予定しています。
研究の対象
当院にてt-PA(血栓溶解療法)を実施した患者様22名の患者様を対象としています。
選定基準
- 難治性潰瘍・壊疽を有し(Rutherford Category 5-6)、大切断のリスクを有する(WIfI clinical stage 3-4)包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)症例。
- 膝下動脈閉塞性病変に対する血管内・外科的血行再建が不適応、手技的不成功または血行再建に成功するも末梢血管床の減少によって血流制限がみられる症例に対し、バルーン拡張術のみによるpDVAを実施した症例(ただし、バルーン拡張術の結果、血管穿孔等が生じ、これに対する緊急処置としてステント留置した症例は除外しない)。
除外基準
- 急性動脈閉塞や深部静脈に明らかな血栓性病変を有する症例。
- 広範囲に及ぶガス壊疽など制御不能な感染症を対象肢に併発し、フットケアチームで議論した結果、大切断が回避できないと判断された症例。
- 非動脈硬化性病変。
協力をお願いする内容
本調査におきましては、対象となる患者様の医療情報(受診日時、行為の日時・手段・場所行為時の状況、受診時の身体的、精神的、入院の有無・治療後の状況等)を参考に調査いたします。カルテを後方視的に確認して行う研究であり、患者様に新たな負担をおかけする事はありません。
研究に用いる試料・情報の種類と取得方法
試料
本研究では使用しません。
情報
通常医療行為の中で取得された以下の診療情報(既存情報)(データ)を診療録(カルテ)から収集します。収集した情報には個人が特定できないようコードが付与され、匿名化されます。コードと患者さんを紐づける対応表は院内で厳重に管理し、外部に知られることはありません。
- 患者背景: 年齢, 性別, 身長, 体重, 喫煙歴, 既往歴, 併発疾患, 内服薬, 血液検査結果等
- 患肢背景: 創傷形成部位, 上肢下肢血圧比(ABI), 皮膚灌流圧(SPP), CLTIの重症度等
- 動脈病変性状: 対象肢における病変性状, 石灰化の程度等
- 血行再建の詳細内容: 動静脈瘻作成方法・作成部位, 静脈弁破壊に用いたバルーンの種類・サイズ等
- 血行再建後のイベント発生: 死亡, 対象肢の大切断, 創傷治癒, 再血行再建など
個人情報の保護
各研究機関で収集された情報(データ)は、研究代表機関であってデータセンターを担う総合高津中央病院へ電子媒体で送付され統合されます。さらに、統合された情報を解析するため、統計解析責任者(大阪大学大学院医学系研究科)に電子媒体で送付されます。送付されるデータに個人を特定するような情報は含まれません。本研究では試料は使用しません。
研究組織
下記の研究機関にて実施します。
研究期間 | 研究責任者名 | 機関長名 |
---|---|---|
総合高津中央病院※1 | 高木友誠※1 | 中村良司 |
太田記念病院 | 安齋均 | 有野浩司 |
森之宮病院 | 福永匡史 | 大道道大 |
福岡和白病院 | 伊元裕樹 | 富永隆治 |
宮崎市郡医師会病院 | 緒方健二 | 髙村一志 |
大阪大学大学院医学系研究科※2 | 高原充佳 | 熊ノ郷淳 |
- ※1.本研究の研究代表機関および研究代表者
- ※2.大阪大学大学院医学系研究科はデータ解析を行い、患者さんの情報の収集は行いません。
お問合せ先
情報の利用・提供を拒否したい場合や、その他本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。情報が本研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合は研究対象といたしません。その場合でも、患者さんに不利益が生じることはありません。
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先
当院における研究責任者
SUBARU健康保険組合 太田記念病院 循環器内科 副院長 安齋 均
〒373-8585 群馬県太田市大島町455-1
電話:0276-55-2200(代表)
この研究の研究代表者
総合高津中央病院 循環器内科 部長 高木 友誠
〒213-0013 神奈川県川崎市高津区溝口1-16-7
電話:044-822-6121(代表)