SUBARU健康保険組合 太田記念病院

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〜当院の取り組みについて〜

医療安全管理者・医療安全課長
岩澤 とみ子

医療安全管理者・医療安全課長 岩澤 とみ子
医療安全管理とはどのような事ですか

「患者様の安全の確保」だと思っています。様々な部署との連携や協働で、病院全般に関わる医療安全対策の周知や実行、評価を含めて組織を横断的に活動していくところであり、これが日常的な活動です。医療安全を確保するというのは患者様の安全の確保なのだと思います。

当院に医療安全管理部が設置されたのはいつですか

院内では2000年3月に第1回目の医療安全委員会が開催され、その後2006年4月に医療安全管理室が設置され、医療安全管理者と感染管理認定看護師が専従する体制をとりはじめました。

設置のきっかけは、1999年に患者様を取り違えて手術するという事件があり、その一ヶ月後に誤って消毒薬を血管内に注入されて患者様が亡くなるという事件がありました。その後も呼吸器の事故など様々な事があり、ヒューマンエラーは起こり得るものとして組織的な対策をしていかなければいけない、という国の医療安全施策の経緯があって、どこの病院でも取り組みが始まり、当院でもそれに伴った院内体制を敷いてきました。

病棟でもインシンデントノートなどを活用して「こんな事があったよ。気をつけよう。」と、患者様にとって有害事象となるような事故を防止できるよう、各部署で啓発しています。
当院の体制について教えてください

医療安全体制の充実のために、2016年度より医療安全管理部長を配置するとともに、2017年より事務専従の担当部長を追加配置し、医療安全への取り組み強化に努めています。

医療安全管理の主力メンバーは、医療安全管理部長2名(救急科主任部長:兼任,事務担当部長:専従)、看護部副部長1名(医療安全管理者:専従)、医薬品安全管理者1名(薬剤部部長兼感染対策課課長:兼務)、医療機器安全管理者1名(臨床工学部課長代理:兼務)、感染管理認定看護師1名(専従)で構成しています。

各部署の責任者が毎週集まり、1週間に起こった重大なインシデント※1やアクシデント※2事例に関する情報共有や、各部門で解決困難な事案について検討を行っています。

問題解決に至らない事案や院内全体への発信・周知に至る内容は、月1回の医療安全委員会で審議・報告を行っています。また、医師に協力を得る問題に対しては、診療部長会議や医局会にて、医療安全管理部部長から報告と協力依頼を行っています。

  • ※1. インシデント
    インシデントとは通常、日常診療の場で、誤った医療行為などが患者に実施される前に発見されたもの、あるいは、誤った医療行為などが実施されたが、結果として患者に影響を及ぼすにいたらなかったものをいう。この同義語として「ヒヤリ・ハット」を用いる。
  • ※2. アクシデント
    アクシデントとは通常、医療事故に相当する用語として用いる。医療事故とは、医療に関わる場所で医療の全過程において発生する人身事故一切を抱含し、患者についてだけではなく、医療従事者が被害者である場合や廊下で転倒した場合なども含む。この同義語として「事故」を用いる。つまり、医療事故には、医療の内容に問題があって起った過失による事故と、医療の内容に問題がないにもかかわらずに起った過失のない、不可抗力による事故の両方が含まれる。
どのようなインシデント・アクシデントがありますか

インシデント報告は月に120件程度あります。薬剤に関するインシデントが全体の30%と一番多く、次に多いのは療養上の世話に関するものとなっています。療養上のインシデントの中では、転倒・転落件数が多く、全体の15%を占めています。当院は75歳以上の入院患者様が全体の40%を占めている状況であり、入院治療に伴う侵襲や、医療機器の装着・環境の変化などによる混乱から、せん妄等により発生しているものもあります。例えば、ベッドからの転落や転倒による骨折などをみると、患者様は“自分の身の回りのことは自身で行いたい”と考え、行動しているためです。これくらいなら自分でどうにかできるという思いや、医療者に対する配慮から、一人で歩行され転倒、骨折してしまったアクシデント事例もあります。

また、薬剤に関しては、病気が改善し内服終了の指示があったのに飲ませてしまったり、検査のために一時的に中止しなければならない薬剤を中止し忘れてしまったりと、薬の管理が十分に行えず患者様に迷惑をかけてしまった事例もあります。私も外観が類似している薬剤の取り違いをしてしまい、他の看護師の指摘で気づいたことがありました。これは、思い込みと確認不足から生じた間違いです。エラーを防止するためには、個人及びシステムによるエラーチェック機能を強化していくことが重要となります。防御システムを活用し、予防を主眼としたシステムの安全性の向上を図っていくことが必要です。方策として、エラーを誘発しない環境や、起ったエラーを吸収して事故を未然に防ぐことができるシステムを組織全体として整備する努力をして行く必要があります。

安全な医療の推進には患者様の協力が不可欠です。自分が受けている医療の内容を十分に把握していただき、エラーのない正しい医療行為が行われるよう、職員とともに確認作業などに参加していただければと思います。

この仕事のどのようなところにやりがいを感じますか

職員が医療安全の取り組みに興味を持ってくれたときですね。今までインシデント報告の提出がなかった部署から報告書があがってきたり、医師から「こんな事があったけれど、どうなの?」と相談されたりすることです。医療安全管理は報告書をもとに危険箇所を伝え、原因を分析し改善への取り組みを提案する部署ですので、現場の状況を伝えてもらえないと機能しません。現場とのやり取りができ、介入させてもらえることは私にとってのやりがいに繋がります。また、グッドジョブ報告(好事例報告)があがってきたときですね。これはチームでエラーを防いだ好事例を報告してもらい、どのような状況下でインシデントの未然防止が図れたのかを分析し紹介する取り組みです。

各個人が安全意識を持ち、患者安全を考え取り組んだ成果が未然防止に繋がっていると思います。ですから、このような報告がたくさんあがってくることは医療安全管理者として大変嬉しく、安全な医療の提供の証であると思っています。

それから、スタッフが安全教育を通して成長してくれることですね。安全委員になり、職場の安全や患者様の安全を考える中で、初めは委員としてどのように活動すべきか自問自答すると思いますが、報告書をもとに原因分析や対策について考え行動することで、患者様の安全を意識した指導や職員への思いやりに繋がるアドバイスができるようになっています。そのような姿を目の当たりにしたときに、すごく嬉しかったりしますね。私は2013年から医療安全管理の仕事に携わっていて、初めは自身で月1回程度行う啓蒙教育の内容等を考えていましたが、今ではプロジェクトチームの委員たちが考え、行動できるまでに成長しています。

職員向け啓蒙教育
今後の抱負を教えてください

“相談できる部署であり続けること。”
医療安全管理部はそのような組織でありたいなと思っています。

現在も、医療安全管理部には1日何十人かの職員が訪れてくれます。それはインシデント報告や事例分析の相談、患者様やご家族からのからの相談への対応、マニュアルの内容確認だったりします。先にも述べましたが、医療安全管理部は報告書をもとに活動を行なっている部署ですので、多くの職員と意見交換をしながら、患者様への安全な医療が提供できるような取り組みを推進して行きたいと考えています。

また、患者安全への取り組み強化としてRRS(Rapid Response System:院内救急対応システム)という、患者様の病態変化時に対処できるような体制整備の構築をしています。現在、病院全体への周知を行い、来年4月からの運用を目指しています。

今後も当院の診療理念である「思いやりの心で行う医療」を念頭に、何よりも安全を重視した医療の提供を心がけて行きたいと思います。

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